特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
脾臓
脾摘時の脾の後腹膜からの游離
梅山 馨
1
Kaoru UMEYAMA
1
1大阪市立大学医学部第1外科
pp.953-955
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210085
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脾摘手技の重要なポイントのひとつに脾の游離脱転がある.この脾の游離,創外への脱転を容易に行うためには,脾の固定に関係している胃脾間膜,脾結腸間膜のほか,横隔脾ヒダ,脾腎ヒダを切離して脾は脾茎部だけで連なっている状態にすることである.とくに脾を後腹膜から游離することは脾の脱転に絶対必要である.これにはまず,広い手術野を確保する.そのためにはKocher氏鉤状切開(沢田法)で腹腔に入り,十分に筋弛緩させた上で,脾の横隔面と壁側腹膜,横隔下面との癒着があれば剥離する.後腹膜は左腎前面を掩って(脾,腎ヒダ),脾動静脈の存在する脾茎部(膵脾間膜)の後壁に連なっていることから,この部の剥離には左側の腎,副腎,並びに膵体尾部の位置関係を知る.門亢症で側副血行路の発達があれば止血鉗子をかけて切離する.その結紮は脾摘後に行えばよい.術者は脾を左手でしっかりつかみ,左肋骨弓を牽引させて脾に接して後腹膜の切離を脾上極に向かってすすめる.
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