Japanese
English
特集 脾摘をめぐる話題
脾摘と感染
Postsplenectomy infection
関川 敬義
1
,
C. H.Shatney
2
,
菅原 克彦
1
Takayoshi SEKIKAWA
1
,
Katsuhiko SUGAWARA
1
1山梨医科大学外科
2University of Maryland Hospital
pp.195-202
発行日 1983年2月20日
Published Date 1983/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208236
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はじめに
1919年Morrisら1)により脾摘後には感染症が増加する可能性が示唆され,1952年KingとShumacker2)は,小児の先天性溶血性貧血(以下,CHAと略す)に対して脾摘を施行した100例中重症感染が原因した2例の死亡例を報告した.これらは何れも脾摘後に,細菌感染に対する生体防御能の低下をきたす危険性があることを指摘している.以後,脾摘後の生体感染防御能について多くの論議がなされてきた.
すなわち,小児においてはもちろん,成人においても,血液疾患やHodgkin病などのため,脾摘した後では感染率が高いという報告が多い3).しかし,外傷のために脾摘せざるを得ない症例での長期観察例の報告は未だ少なく,感染症のほか,免疫能の低下さらには最近にいたり発癌の危険性についても多くの論議がなされている.
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