特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
小腸・大腸
直腸癌手術の側方リンパ節郭清
小平 進
1
Susumu KODAIRA
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.798-800
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210033
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直腸,特に下部直腸癌に対して,側方リンパ節郭清を中心とする拡大郭清を行うことにより,局所再発を減少させ,遠隔成績も向上した.直腸癌の側方リンパ節への転移率は中直腸動脈根部リンパ節8.0%,内腸骨リンパ節7.6%,閉鎖リンパ節5.4%,総腸骨リンパ節1.2%,外腸骨リンパ節3.0%などであり,私達が検索した174例中,14.4%に側方転移を認めている.原発巣の深達度別にみると,固有筋層を越えるものでは18.0%に転移がみられている.直腸の部位によるリンパ流の違いから,特に下部直腸,肛門管の固有筋層を越える癌では,側方転移率は22.0%と高率である.一方,拡大郭清を施行すると術後の排尿,性機能障害は高度となることはいうまでもない.従って,側方郭清は下部直腸,肛門管に存在する癌で,深達度が固有筋層を越えると思われる症例に限定して行うことを現在では原則としている.
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