Japanese
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特集 急性腹症のX線像・エコー像
消化管穿孔のX線像・エコー像
X-ray film and echo findings on perforations of the gastrointestinal tract
吉中 平次
1
,
島津 久明
1
Heili YOSHINAKA
1
,
Hisaaki SHIMAZU
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.595-601
発行日 1988年5月20日
Published Date 1988/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209983
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はじめに
急性腹症の診断は迅速でなければならず,なかでも消化管穿孔はこれが疑われると同時に手術のための前処置・治療の開始を必要とする病態である.既往歴と現病歴に関する詳細な問診,状況を知る家族や周囲の人からの情報,全身的および腹部の理学的所見が大切で,これに簡単に実施できて結果がすぐに分かるいくつかのルチーン検査が基本的な診断手技である1,2).診断の思考過程を系統的なものとするためのフローチャートが急性腹症の総論には大抵記載されている.食道から大腸の各臓器別の穿孔あるいは上部および下部消化管穿孔のそれぞれの病態,臨床症状,X線像の特徴や問題点に対する知識と経験,自らの系統的診断プロセスがあれば,少なくとも本症の存在を疑うことはそれほど困難ではない.検査への過度依存,精密な質的診断への執着によって手術の時期や治療の開始を遅らせることがあってはならない3).
上述の基本的診断手技が重要なことは今日でも変わりはないが,近年これに加えて,超音波検査やCT(computed tomography)を中心とする新しい画像診断法が消化管穿孔を含む急性腹症一般の診断に大きく貢献するようになった4).とくに超音波検査は,非侵襲的で外来やベッドサイドで簡便に施行できる.また反復して実施することができ,短い間隔での経過観察が可能で,結果が実時間性にその場で分かる点も大きな長所である.
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