文献抄録
乳癌補助療法に関する全国計画(NSABP-Protocol 6)の病理学的検討—Ⅱ.局所再発と多発乳癌の関係
藤原 潔
1
1慶応大学医学部外科
pp.524
発行日 1987年4月20日
Published Date 1987/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209675
- 有料閲覧
- 文献概要
NSABP(the National Surgical Adjuvant BreastProject)は1976年にE.R.Fisherらを中心として米国で開始された臨床試験であり,stage I,II乳癌に対する乳腺全切除と部分切除あるいは部分切除+照射の比較を目的とし,いずれの群でも腋窩郭清を施行している.その結果5年までに部分切除群の28%,部分切除+照射群の8%が再発し乳腺全切除が追加されたが,生存率を検討すると部分切除+照射の群が,部分切除のみあるいは乳腺全切除に比べて有意に良い結果がえられている.
上記の結果をうけて本論文では主に局所再発の病理所見に関して検討し,1,108例のNSABP protocol 6に加わつた乳腺部分切除後5カ月〜95カ月(平均39カ月)経過した症例を対象としている.110例に局所再発をみとめ,86〜95%が術後4〜5年以内であり,照射群の6%,非照射群の24%に再発がみとめられた.再発部は104例(95%)で乳腺実質を含み,6例(5%)は皮膚あるいは乳頭のみであり,11例(10%)は非浸潤癌であつた.86%は原発腫瘍の同一四分円内であり,14%は他領域にひろがつていた.他領域にひろがつた例では,リンパ管内侵襲と皮膚,乳頭への浸潤を特徴とし,皮膚乳頭へ限局した例もリンパ管内侵襲を特徴としていた.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.