特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅳ.併存疾患をもつ外科患者の薬物療法
12.水電解質・酸塩基平衡異常
リン異常
真島 吉也
1
1千葉大学医学部第1外科
pp.914-915
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209442
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□基本事項
血清無機リン正常値は,成人では2.5〜4.5mg/dlで,小児では4.0〜70mg/dlである.リンはあらゆる食品に含まれているため,通常の食生活を行うかぎり1日1〜1.5g摂取され,摂取量に不足はないはずである.一方,あらゆる栄養素を静脈内投与するのが基本となる高カロリー輸液では,当然のことながら十分量の静脈内投与を行う必要がある.しかし,Dudrickらがブドウ糖とアミノ酸をエネルギー源とする高カロリー輸液を開発した当時の輸液処方では,リンは血清中の無機リン値を参考にして必要に応じて投与する要素の一つにあげられていた.しかし,その後,リンの投与を怠ると血清無機リン値の低下と筋力の低下,知覚障害,痙攣,昏睡などの臨床症状が生じることが知られるようになり,リンの添加は高カロリー輸液処方では欠くことのできないものと.なつた.高カロリー輸液時のリン投与に関しては多くの報告がなされている.一方リンの代謝異常には血清リン値が高値となる高リン血症もある.本稿では種々の原因によるリン代謝異常についてふれると共に,特に高カロリー輸液時のリン投与量についてを述べる.
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