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αスペクトリンの異常
林 正
1
1山形大学小児科
キーワード:
赤血球膜骨格
,
αスペクトリン
,
赤血球形態異常
Keyword:
赤血球膜骨格
,
αスペクトリン
,
赤血球形態異常
pp.983
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900241
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赤血球が個有の形態を保ち,変形したり,復元しうるのは赤血球膜骨格の機能によるものと考えられる.スペクトリンspectrinはその膜骨格を構成する主要なポリペプチドであり,SDS電気泳動法により分子量24000と22000の二つのサブユニットに分かれる.前者をαスペクトリン(Spα),後者をβスペクトリン(Spβ)という.この両者は長い線維状をなし,互いに捻れあってスペクトリンのダイマーdimerを形成し,その端々が自己会合self-associationすることによってテトラマーtetramer,さらにオリゴマーoligomerを形成する.また,これらのスペクトリンは他の骨格タンパク質であるband4.1やactinと結合して網目構造をつくり,さらにglycophorinAやCと結合して膜脂質二重層に固定される.また,Spβはband2.1(ankyrin),band3とも結合して膜脂質に固定される1,2).赤血球膜の電顕観察によると,膜脂質の内側にスペクトリンの線維から構成される六角形の格子構造が認められる3).
こうした膜骨格の異常が赤血球の形態異常と関連することが当然予測されるところである.
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