Japanese
English
臨床研究
食道静脈瘤合併肝細胞癌の治療方針
Management of hepatic cell carcinoma complicated with esophageal varices
中村 亮
1
,
栗栖 敏嘉
1
,
佐々木 寿彦
1
,
長崎 雄二
1
,
小林 輝久
1
,
中村 浩一
1
Ryo NAKAMURA
1
1東京慈恵会医科大学第3分院外科
pp.1743-1748
発行日 1985年12月20日
Published Date 1985/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209211
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はじめに
肝臓における画像診断は近年著しい進歩を遂げ,1cm前後の肝細胞癌(HCC)の描出まで可能にした1).加うるに肝硬変をHCCのhigh risk groupとしてAFP,画像診断等による定期的な検査が行われるようになり2,3),細小肝細胞癌が発見される頻度は増加し,それにともなつて同じく肝硬変を基礎疾患とすることの多い食道静脈瘤症例の中にも今後HCCの合併を経験する機会が多くなることが予想される.
このような食道静脈瘤合併肝細胞癌の治療は各々の疾患に対して根治性が要求されるが,基礎疾患としての肝硬変の程度,あるいは腫瘍の局在などによつて必ずしも理想的な治療が実施できないことが多い.しかしながら近年その診断能の進歩と相俟つて治療面においてもHCCに対する切除法の改良,肝動脈塞栓術(TAE),また静脈瘤に対しても内視鏡的硬化療法などが開発実施され,症例によつては良好な成績を示し,今後これら治療法の選択組合わせが治療上の大きなポイントと考えられる.
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