Japanese
English
特集 肝硬変と手術
麻酔
Liver cirrhosis and anesthesia
高橋 成輔
1
,
吉武 潤一
2
Shosuke TAKAHASHI
1
,
Jun-ichi YOSHITAKE
2
1九州大学医学部附属病院手術部
2九州大学医学部附属病院麻酔科
pp.1319-1324
発行日 1983年9月20日
Published Date 1983/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208430
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はじめに
肝循環系を構成している肝動脈系と門脈系のうち,総肝血流量はその35%が肝動脈系,65%が門脈系から供給されている1).門脈圧は通常5〜10mmHgであるが肝門脈系に循環異常が生じ上昇してくると門脈圧亢進症が発生する.門脈圧上昇が生じると食道粘膜下,直腸粘膜下,前腹壁,腹膜,左腎静脈など低圧系の静脈灌流量が増加し,最終的には食道静脈瘤などの発生をみる2).門脈圧亢進症に対する外科治療の目的は主としてこの食道静脈瘤の破裂による出血防止にある.原疾患としては肝前性門脈閉塞症,特発性門脈圧亢進症および肝硬変症がある.食道静脈瘤からの出血を来す症例の70〜80%は肝硬変症由来のものであり,重篤な肝機能障害を伴つていることから予後不良なものも多い3).
ここでは肝硬変症による食道静脈瘤からの出血防止または大量出血時救急手術における麻酔管理および術中輸液輸血管理の要点について述べる.
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