Japanese
English
特集 肝硬変と手術
肝硬変のnatural history
The natural history of cirrhosis
長島 秀夫
1
,
山田 剛太郎
1
Hideo NAGASHIMA
1
,
Kōtaro YAMADA
1
1岡山大学医学部第1内科
pp.1275-1280
発行日 1983年9月20日
Published Date 1983/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208424
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はじめに
肝硬変は慢性肝疾患の終末像として,その形態学的特徴を中心に古くから検討が加えられてきたが,死因統計上は欧米と同様わが国でも漸増傾向を示し,1980年には死亡者総数に対する割合も2.3%,死亡順位で第8位を占め,医学的にも社会的にも重要な疾患となつている1).病因でもB型肝炎ウイルスの発見とともに慢性肝炎から肝硬変への進展例が多数追跡され,一方ではアルコール多飲による肝硬変も増加している.診断方法の進歩さらには,その病態に応じた内科的および外科的治療法の進歩とともにその生存率も改善してきた.また,肝硬変の死因としては,肝細胞癌の合併死の増加が報告されており,肝癌に対する治療法の確立が肝硬変の予後を改善する上で重要となつてきている.
本稿では,はじめに肝硬変の疫学統計を全国と岡山地方の両方について紹介し,さらにその病因,臨床像および経過予後について文献的考察を加えると共に教室例につき検討した成績も示し,肝硬変のnatural historyの現状を紹介してその責を果たしたい.
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