新形影夜話・7
納得のいく手術
陣内 傳之助
1,2
1大阪大学
2近畿大学医学部附属病院
pp.1166-1167
発行日 1983年8月20日
Published Date 1983/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208405
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開腹してみていちばん困ることは,開腹所見が術前にあつた症状から想像していたものとまつたく違つていて,どうしても納得のいかない場合である.こんなときには全身状態の許す限り,納得がいくまで探索してみることが大切である.納得がいかぬままにお腹を閉じたときほど嫌なことはない.
右下腹部に疼痛を訴え,筋性防御がみられ,白血球数が増加している場合,ふつう多くは急性虫垂炎を考えるのであるが,開腹してみたら虫垂はほとんど正常というような場合がある.こんなときには虫垂以外の他の部の腸管に炎症ないし穿通,穿孔がないかと考えて入念に探してみることが必要である.めつたにないことではあるが,回腸下端から口側に辿つてゆくと,メッケルの憩室があり,これが炎症を起こして,それが穿孔しかかつていたことがあるし,また最近では欧米食のためか,盲腸後壁に,昔はあまりなかつた憩室が生じ,これが穿孔して同様の症状を起こすことがある.
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