特集 会陰切開
産婦とスタッフの納得のいく会陰切開—当院におけるとりくみ
小島 泰代
1,2
1小松島赤十字看護専門学校
2前:小松島赤十字病院助産係
pp.747-753
発行日 1990年9月25日
Published Date 1990/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903240
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はじめに
分娩は時代の流れとともに,産婦自らが産むお産から産ませてもらうお産,医療者にとっては産ませるお産へと変化してしまった。この変化とともに分娩時のより高い安全性が要求されるようになった。そのためにME機器の導入をはじめ,さまざまな医療介入がなされ,周産期医療はめざましい発展を遂げるに至った。しかし,急激な医療の器械化や合理化とともに,分娩時の産婦を取り巻く環境が非人間的な様相を呈してきたことは否めない事実である。安全性確保のために医療側の都合に合わせた計画分娩,清潔という名目での家族からの隔絶,器械任せの分娩管理,ルチーン化された会陰切開,流れ作業的分娩介助等,産婦の人間性不在の感は否定できない。当小松島赤十字病院においても残念ながら,この風潮は少なからず存在している。
しかし,ラマーズ法の普及が契機となって,最近,このような施設内分娩への批判が出現し,過剰な医療行為を加えることのない生理的で自然な分娩への欲求が高まりつつある。この事実を踏まえて,いま一度,まず,理想的な分娩について考えてみたい。
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