Japanese
English
特集 新しい抗生物質と外科
消化器外科と抗生物質
感染を防止するにはどうするか
上部消化管手術
Prophylactic chemotherapy after upper GI tract surgery
石引 久弥
1
,
相川 直樹
1
,
三吉 博
1
,
奥沢 星二郎
1
,
内田 博
2
Kyuya ISHIBIKI
1
1慶応義塾大学医学部外科
2慶応義塾大学医学部中検細菌
pp.1489-1494
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208144
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はじめに
消化器手術後に発生する感染症には多くのものがある.その主体は手術野の細菌性感染症であり,その予防および治療には抗生物質を中心とする抗菌剤による化学療法が大きな役割を果している.最近の数年間に開発,臨床導入されてきたペニシリン系,セフェム系抗生物質は従来弱点となつていたグラム陰性桿菌に対する抗菌特性が飛躍的に向上し,しかも致命的な毒性を示す頻度も無視しえるほど低率である.
このような現状を表面的にうけとると,抗生物質は外科領域でも極めて安易に,十分な適応を考慮せずに抗生物質を使用する風潮をもたらしやすい.手術後の感染症の対策の基本は手術手技自体にあることをあらためて認識すべき時点でもあるし,新旧の抗生物質の特性を理解した適正な化学療法が特に望ましい.
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