特集 Controversy;皮切と到達経路
〈コメント〉—下部食道・噴門部癌
武藤 輝一
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.1326-1328
発行日 1982年9月20日
Published Date 1982/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208114
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下部食道・噴門癌に対して十分な切除と十分なリンパ節郭清を行うという西教授のお考えには全く同感であり,左開胸斜め胴切り法の皮切を否定するものではない.しかし私共の施設ではこれまでの手術成績をふり返りながら,同じ下部食道・噴門癌でも癌腫の口側浸潤の範囲や癌腫が限局型か浸潤型かなどによつて切除及び郭清範囲を変えている.そのため何種類かの皮切が施行されているのでご紹介したい.なお胃切除および他臓器合併切除に関しては手術中に癌腫の漿膜面露出がある(S1以上)と判定した場合には胃全摘・膵脾合併切除を行うこととしているため噴門側胃切除の施行されることは多くない.なお癌腫の口側浸潤範囲の決定については術前のX線および内視鏡検査所見と術中の漿膜側からの視診と触診から行つている.
① 癌腫の口側先進部が食道胃接合部を僅かに越えるていど(5〜6mm)の場合は開腹術のみにとどめる(図1—a).必要に応じ食道裂孔を開大し横隔膜リンパ節(No.111)をあるていど郭清する.
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