特集 外科外来マニュアル
私の治療
各論—頭頸部
面疔,蜂窩織炎
若林 利重
1
1東京警察病院外科
pp.615
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207951
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□概説
顔面に発生した癤または癰をとくに面疔という.しかし癰が顔面に発生することはきわめて少い.面疔が特別の扱いをうけるのは面症から顔面静脈,内眥静脈,上眼静脈を経て頭蓋内静脈洞に炎症がおよび化膿性髄膜炎をおこすことがあるからである.抗生物質のなかつた時代には予後の悪いものとして恐れられていたが現在では他の部位のものと殆どかわりなく扱われている.
蜂窩織炎は結合組織内をびまん性にひろがる化膿性炎症のことをいうが一般には皮下組織に発生したものをいうことが多い.癤または癰に蜂窩織を合併することもしばしばみられる.またリンパ節炎や肛囲膿瘍でも蜂窩織炎を伴うことがある.
面庁でも蜂窩織炎でも治療法は原則として保存的療法であり安静,湿布,抗生物質投与などが行われる.これらが膿瘍を発生したときにのみ切開排膿を行う.面痒で切開を必要とするようなことは最近では殆どなくなつた.面庁では膿栓の融解,排出を促す目的で局所療法としてトリプシン製剤を使うことがある.顔面には面庁に似た炎症性粉瘤がよくみられ膿瘍を形成することがある,
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