特集 外科外来マニュアル
私の治療
まえがき
出月 康夫
pp.605
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207947
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おろそかに為してよからむ外科手術ありと思へや小さくありとも
(小松 三郎)
一生のうちで,外科的な疾患で入院し手術をうける機会をもつ人はそれほど多くない.しかし誰でも,ちよつとした"はれもの"や怪我などで近くの外科の先生に駈けこんだという経験は持つておられよう.大部分の人にとつては,このような外来での受診が外科医というものに接する唯一の機会であり,外科医が実際に社会に最も広く貢献しているのも,このような日常の外来診療を通じてであろう.外来診療は外科と日常生活との接点としてきわめて重要である.
外来での処置,病室での患者管理,および手術は外科診療の大切な三つの局面であるが,大学病院や大きなセンター病院などの外科研修の課程の中で,外来診療は患者の術前術後処置や手術の習練などとくらべると幾分軽視されがちである.また実際にこれらの大病院を訪ずれる患者の種類は,最前線の外科開業医の日常外来で診る患者とは随分異なることが多い.その結果,大学病院やセンター病院でのトレーニングだけでは,一般外科外来での処置についての十分な知識や経験はなかなかえられない.
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