特集 第1回神経病理懇話会
まえがきと編集のことば
白木 博次
1
1東京大学
pp.1-2
発行日 1960年10月30日
Published Date 1960/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901804
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昭利35年2月6, 7の両日,神田一つ橋学士会館において,第1回神経病理懇話会が開かれた。ここに編集されたのは,その時の講演と討論の記録である。
この会を開くにあたつて,世話人一同が慎重に考慮したいくつかの点がまずあげられる。その第一は,どのような主題を選択し,それをどう運営するかにあつた。つまり関連基礎医学と臨床医学の諸部門の方々がひろく興味と関心とを寄せ,活発かつ充分に討論する時間的余裕をもつていただくことであつた。この意味で,第1日の主題「錐体外路疾患」がそれに価しえたかどうか,私個人としてはかなりの疑念が残つている。勿論,各講演の内容は,それぞれ示唆と独創に富み,いずれも水準以上のものがあつたことは,この編集記録を通読していただければ容易に理解できるところである。しかし最初に目標とした,神経病理学と関連基礎医学との円滑な融け合いがえられたかといえばそう簡単にはいえないし,また肝脳疾患に重点がおかれすぎたように思う。もつともすくなくとも現在わが国におけるこの領域の研究主流がそのようなもので,この疾患を関連諸科学から眺めるといつても,その相五関係がこのような段階に止まらざるをえなかつたといつてしまえばそれまでである。しかしその運営方法について準備不足があつたために,折角内容に富んだ各講演の持味を充分生かしきれなかつた責めを率直に認めたい。
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