特集 術中エコー
Editorial
術中エコー—臨床的意義と今後の課題
竹原 靖明
1
1関東中央病院画像診断科
pp.26-27
発行日 1982年1月20日
Published Date 1982/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207862
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〈プロローグ〉
超音波検査の術中利用の歴史を尋ねてみると1950年後半に溯ることができる.当時は超音波の診断的応用が,主として頭部を中心に行われていたので,術中利用も脳手術に用いられた.もちろん,現用の便利なリアルタイム装置はなく,最も基本的なAモード装置が利用されていた.この装置による表示像は一次元像であるため再現性が乏しく,超音波の有する利点が十分発揮されたとはいえない.しかし,当時としては画期的なことで頭蓋内出血の手術には極めて有効であつたと伝えられている.この時期にはすでにBモード装置が一般臨床の場に登場し,多くの注目を集めていたのであるが,何故か1970年前半になつてこの方式が脳手術に利用されている.しかし,これらの装置は走査部(スキャナ)が大きく,操作が不便で,そのうえ表示は残光性ブラウン管による静止画像であつたため実用性に乏しく,しばし放置されていた.
1976年,リアルタイム装置の代表とされる現用のリニア電子スキャンが開発・実用化され,肝・胆道・膵などの診断に極めて有効であることが判明して,かつて脳手術に導入されたごとく,まず,肝手術に利用された.そしてその有効性が確認されるが,この手術に適応する探触子も開発されて,超音波の新しい利用法の1つとしてクローズアップされたのである.この術中エコーは今や肝手術のみならず,再び脳手術にも利用され始め,さらに,膵・胆道・泌尿器科領域における診断と治療のモニターとして広く活用されつつある.
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