Japanese
English
臨床研究
膵頭十二指腸切除後の内因性セクレチン分泌
Immunoreactive secretin release after pancreaticoduodenectomy
山崎 軍治
1
,
黒田 吉隆
1
,
竹下 八洲男
1
,
小西 孝司
1
,
倉知 圓
1
,
永川 宅和
1
,
宮崎 逸夫
1
Gunji YAMAZAKI
1
1金沢大学医学部第2外科
pp.1131-1135
発行日 1981年7月20日
Published Date 1981/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207758
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はじめに
1902年Bayliss & Starling1)は自律神経切除犬を用いて,十二指腸内に塩酸を注入すると膵液の分泌が亢進することを発見し,塩酸によつて十二指腸粘膜から賦活されて放出する,膵液促進物質をセクレチンと命名した.これが歴史的にみる最初の消化管ホルモンの発見であり,これを契機としてガストリン,パンクレオザイミンなどの多くの消化管ホルモンが発見されるようになつてきた.
ところで,これらの消化管ホルモンの宝庫である胃前庭部,十二指腸および空腸上部が膵とともに切除される膵頭十二指腸切除(以下PD)では,術後にこれらの消化管ホルモンの脱落による代謝障害の出現が懸念される.とくにセクレチンは膵外分泌,胆汁分泌を刺激するとともに,糖代謝にも関与していることが明らかにされつつあるgut hormoneであるが,PDではその分泌母地のみならずtarget organである膵も一部切除されるので,術後にセクレチンがいかなる推移を示すのかについては,いまだ不明の点も多い.そこでわれわれはPD後の血中セクレチン分泌動態を塩酸負荷により検索し,さらに残存膵の外分泌能についても検討を加え若干の知見を得たので報告する.
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