わが教室自慢の手術器具・11
慈大2外式レトラクター
青木 照明
1
,
長尾 房大
1
1東京慈恵会医科大学第2外科
pp.1426-1427
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207532
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- 文献概要
いかなる手術においても目標とする手術部位の必要にして十分な露出,手術視野の確保は安全かつ確実な手術遂行のために最も基本的な条件の一つである.そのために腹部外科においても皮膚切開アプローチの方法から,開創鈎などについても古くから種々の工夫がなされている.また,第二助手の鈎の持ち方牽引の仕方なども重要なトレーニングのひとつとさえなつている.しかし,食道裂孔噴門部やダグラス窩深部などでは手術視野の十分な確保は必ずしも容易ではない.特に,近年の日本人の体格の向上あるいは肥満体の急激な増加は腹腔内手術を難かしくする傾向にあり,その原因の一つは手術視野の確保の困難性にあると思われる.そこで私共は4〜5年前より十分な手術野の確保と固定性の良好な開創鈎の開発を試みてきたがかなり満足できる形となつてきているので紹介したい.
参考とした主なレトラクターは,Weinbergらのhoe retractor(手持ち),Goligherらのチェーン式胸骨レトラクター,Marburg大グループの固定式肝臓鈎などである.
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