カラーグラフ 術後内視鏡・2
上部消化管術後内視鏡
高木 國夫
1
1癌研究会附属病院外科
pp.450-451
発行日 1980年4月20日
Published Date 1980/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207408
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従来は上部消化管手術後の内視鏡検査は主として幽門側胃切除後の残胃ならびに,胃腸吻合部近傍が対象となつていた.近年,食道,胃,膵・胆道系に対する診断ならびに手術術式の進歩により,胃切除のみでなく,胃全摘,食道胃噴門切除,膵頭十二指腸切除などが安全に行なわれて来ている.かかる各種手術後の症例に対して,内視鏡検査ならびに内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)の必要にせまられる場合が少なくない.近年,胃内視鏡器械の進歩により,種々な胃手術後の内視鏡検査やERCPが可能になつてきている.
上部消化管手術の中でもつとも多い幽門側胃切除例では,Billroth Ⅰ法吻合例では,吻合部ならびに十二指腸の検査は容易であるが,Billroth Ⅱ法例の十二指腸検査は側視鏡では容易でなかつた.近年,細い直視ファイバースコープが開発されて,Billroth Ⅱ法例に対して胃腸吻合口から十二指腸を逆行性にたどつて十二指腸断端や乳頭部の観察,ERCPが可能になつてきている.図1は十二指腸球部平滑筋肉腫のBillroth Ⅱ法による胃切除例のX線写真で,十二指腸断端に異常が認められ,直視スコープの挿入により十二指腸断端に出血を伴う腫瘍を観察(図2),生検により再発が確認された(図3).また,Billroth Ⅱ法例で,上腹部痛に対し直視スコープを乳頭部まで挿入(図4),ERCPにより主膵管の連球状拡張(図5)により,慢性膵炎が診断された.さらに,内視鏡的乳頭切開により,総胆管結石の除去が可能である.
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