わが教室自慢の手術器具・1【新連載】
食道再建術における大彎側胃管形成鉗子
佐々木 公一
1
,
武藤 輝一
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.243-244
発行日 1980年2月20日
Published Date 1980/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207381
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本邦では胸部食道全摘後の食道再建に手術手技が比較的容易なことから胃を用いることが多い.胃を頸部まで挙上して食道胃吻合を完遂させるには良好な血行を保つた十分な長さの胃管を作成することが必須の条件であるが,この課題に対して井口ら1)は胃小彎側切除部の漿筋層と粘膜・粘膜下層とを別々に縫合する胃管延長法を考案した.われわれも1975年以後,この術式を追試し,ほぼ同様の延長効果を認めているが,2本の曲腸鉗子などを用いて小彎側の各層別手縫い結節縫合をすすめる際に胃内容の漏出や前後壁での相対位置のずれ,筋層の薄くなる胃体部での粘膜損傷,切離縁の不整などはある程度避けられず,胃管作成中の出血量も予想以上に多いことに気付いた.これらの障害が直接手術成績を左右するほどのものとは考え難いが,手技上の2,3の問題点をいささかでも解決するために大彎側胃管形成鉗子を開発し,これまで使用した50例以上の症例に好結果を得ている.
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