今月の症例
胃体部大彎側の良性潰瘍
田中 容
1
,
丸山 雅一
1
You Tanaka
1
1癌研・内科
pp.124-126
発行日 1985年2月25日
Published Date 1985/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109683
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〔症例の見どころ〕患者は54歳,女性.1982年5月25日,軽度の心窩部痛と共に大量の下血あり.近医で1,000mlの輸血を受けた後,5月30日,癌研内科に入院.初回の内視鏡検査で比較的大きく深い潰瘍を認めた.生検は癌陰性.入院後第49病日に行った第3回目の胃X線検査で潰瘍は著明に縮小していた.初回X線検査では,病変の占居部位,不整形のニッシェ,著明な潰瘍壁などの特徴から,一見癌の診断に傾きそうである.しかし,胃潰瘍診断の定石に従うと,この病変は紛れもなく良性潰瘍の所見を呈している.内視鏡所見も同様である.なお,治療にH2 recepter blockerは使用しなかった.
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