特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45
急性膵炎
宮崎 逸夫
1
,
小西 孝司
1
1金沢大学医学部第2外科
pp.919-923
発行日 1979年6月20日
Published Date 1979/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207204
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■なぜ内科治療とのControversyになるか
急性膵炎の本態は活性trypsinをtriggerとする一連のchemical autolytic processによる膵の組織破壊である.かくして一旦,膵炎が初発すると,trypsin,lipase,phospholipase A,lysole—cithin,kallikrein,bradykinin,elastase,plasminなどの各種のtoxicな物質が血中に逸脱し,他臓器を障害し,一層重篤な症状へと進展させる.従つて,その臨床経過,臨床症状,臨床検査所見は極めて多彩となるが,これら症状や所見と膵の組織的所見との間には必ずしも平行せず,古来,各病態に応じた各種の治療法が提唱されている所以でもある.
膵炎の治療の歴史的変遷をみ顧るに,1940年頃までは,膵被膜切開,膵実質切開およびドレナージなどの積極的な早期手術が行なわれていた.しかし,高い死亡率のため1950年以降は,膵外分泌抑制剤,膵酵素活性抑制剤,輸液,抗生剤の投与を主体とした保存的治療が推奨されてきた.ところが,麻酔の進歩や術後の患者管理の進歩が著しくなつた昨今では,積極的保存療法で改善の兆しが見られない症例に対しては,むしろ早期の外科的療法の必要なことが再認識されるようになつて来た.
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