特集 内科診療にガイドラインを生かす
消化器疾患
急性膵炎
川口 義明
1
1東海大学医学部内科学系消化器内科
pp.186-190
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107102
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
急性膵炎の診断・治療に関する国外のガイドラインとして,欧米においてはその地域独特の医療情勢に合わせて独自の急性膵炎ガイドラインが作成されている.作成主体は多彩であり,診断基準や定義を検討したMarseilles symposium,Cambridge,Atlanta symposiumなどの世界における膵炎の中心的な研究者による委員会から始まり,各国の主要学会主導ガイドライン,国際集会を中核とするガイドライン,栄養や救急治療にポイントを置いたガイドラインなど,数多く作成・出版されている(表1).
日本では,2003年に第1版が作成されて以降,急性膵炎の治療成績向上が認められたが,難病にも指定されている重症急性膵炎のさらなる死亡率の低下を目指して,2009年に日本腹部救急医学会,肝胆膵外科学会,膵臓学会,医学放射線学会,厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班合同による『急性膵炎診療ガイドライン2010[第3版]』が発行された1).第3版では,重症度分類変更に伴う改訂,新たなエビデンスに基づく改訂(予防的抗菌薬の使用,感染性膵壊死に対する治療),新たな取り組み(臨床指針:pancreatitis bundle)が盛り込まれており,高次医療機関への搬送基準が明文化されていることも特筆すべきである.
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