特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45
胆石症
佐藤 寿雄
1
,
高橋 渉
1
1東北大学医学部第1外科
pp.913-916
発行日 1979年6月20日
Published Date 1979/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207202
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■なぜ内科治療とのControversyになるか
胆石症の内科的治療の目標は,胆石の安全確実な排出または溶解と生成の予防につきるが,このような方法は未だ確立されていない.近年,cheno—deoxycholic acidまたは,ursodeoxycholic acidの優れた胆石溶解効果が確認され,コ系石の経口溶解剤に曙光をみいだしつつある.近い将来,より有効な薬剤の出現に希望をあたえるものではあるが,現段階でその恩恵をうける症例は全胆石症の10%(せいぜい20%)とされている.したがつて,胆石症の根治療法は,今日でもなお,理論的には外科的療法が主体であることに変わりはないものと考えている.
しかし,実際に手術適応を考えるとなると内科側と外科側には若干,見解の相違がみられる.内科側で手術に否定的な立場にたつものは,かつては手術死亡率も高く,また,胆摘後困難症のような術後障害も多く,外科手術に対する危惧の念が依然強く,症状のない胆石症が将来発症する頻度はそれほど高くないとしている.一方,外科側は急性期の手術成績は間歇期にくらべて悪いこと,無症状であつたものが急激に重篤な急性胆のう炎を発症することがあり,とくに高齢者でこの傾向が著しいこと,などを理由に積極的に手術適応を考えている.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.