Japanese
English
特集 乳幼児急性腹症—診断のポイントとfirst aid
緊急手術の適応—腹部腫瘤
Indication of emergency operation in abdominal tumor in childhood
岸川 輝彰
1
,
角岡 秀彦
1
Teruaki KISHIKAWA
1
,
Hidehiko TSUNOOKA
1
1名古屋市立大学医学部第2外科
pp.705-712
発行日 1978年5月20日
Published Date 1978/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206952
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はじめに
小児期のすべての腹部腫瘤は,少なくとも診断が確定するまでは準急性腹症的に対処しなければならない.ひとつには,小児期腹部腫瘤の約半数は悪性腫瘍であり,しかも,その進行は成人に比して遙かに速く,折角治癒可能な腫瘤を発見していながら,無策に放置したために治癒の時期を失するようなことがあつてはならないからである.因みに,成人の5年治癒に相当するものは小児では一応2年1)とされており,これがそのまま成人と小児の悪性腫瘍の進行速度の相違を示すものではないとしても,これから単純に計算すれば,小児では2.5倍の速さで進行する訳である.次に,たとえ腫瘤が直接生命の予後に関係する悪性腫瘍ではないとしても,殊に小児においては,腫瘤形成の原疾患の進行や合併症を最小限にくいとめなければならないからである.勿論,このことは何も小児に限つたことではないが,ただ,小児は成人と異なつて成長過程にあり,かつ遙かに長い未来が待ちうけているので,人生の幼若な時期から不必要なhandicapを負わせてはならないからである.
従つて,小児の腹部腫瘤に接したならば,24〜48時間以内に必要最少限の検査を終了し,悪性腫瘍が疑われたならば直ちに手術を施行している施設が多い.
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