今月の主題 血液ガスの基礎と臨床
血液ガス異常
血液ガス異常と電解質
横山 剛
1
1警友病院・内科
pp.174-175
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205773
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血液ガスと体液電解質とは密接な関係があり,相互に影響を及ぼしあうものであるので,血液ガスの診断と治療における電解質の占める意義はきわめて大きいといえる.中でも細胞内緩衝系としてのKの動きは,H+の移動を伴って直接pHに関係するものであり,主要な陰イオンであるClの増減はHCO3-の濃度および腎での再吸収に影響を及ぼしてpHを変化させ,また水分量の変動はcontraction alkalosis, dilution acidosisをきたすなど,いくつかの重要な機序が認められている.
血液ガスの異常のうち,anoxemiaのみを呈する場合は通常特別な電解質異常は認められないが,それが高度の場合には細胞のcatabolismからKの游出等の機序が予想される.しかし実際には,たとえば呼吸不全でanoxemiaの強い場合には多くはhyperventilationによる呼吸性アルカローシスを伴っており,また循環不全の強い時にはlactic acidosisが認められ,pHの異常を伴っていることが多い.したがって血液ガス異常と電解質としてはpHの異常,すなわちアシドーシス,アルカローシスを中心に述べる.
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