カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・33
大腸結核の内視鏡所見
丸山 雅一
1
1癌研究会付医属病院内科
pp.462-463
発行日 1978年4月20日
Published Date 1978/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206924
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大腸結核の好発部位は,回盲部,上行結腸てあるから,内視鏡検査(結腸ファイバースコープ)を行なうときには必ずX線所見を参考にする.図①,②は近年よくみられる大腸結核のX線所見である.この例では,病変は盲腸部から横行結腸中部にまて拡がつているが,図にみられるように,活動性の病変があるのは肛開側端の横走潰瘍のみで,他の大部分の病変はいわゆる「潰瘍瘢痕をともなう萎縮帯」である.この「萎縮帯」には,ふつう,大小不同の炎症性ポリープが散在する.
筆者の考えでは,このような結核病変の診断はX線所見のみで十分であり,内視鏡所児は必要ないように思う.内視鏡検査を行なえば生検標本を採取できるという利点もあるが,結核に関する限り,肉芽腫が見つかる頻度はきわめて低いから,生検の利点もあまり役立たない.したがつて,内視鏡検査の意義は,X線所見を確認し,これを内視鏡的に記録することにあるとでもいえるであろうか.
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