Japanese
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特集 消化性潰瘍と迷切術
選択的近位胃迷切術のコツ
A technique of selective proximal vagotomy for duodenal ulcer
長尾 房大
1
,
青木 照明
1
Fusahiro NAGAO
1
,
Teruaki AOKI
1
1東京慈恵会医科大学第2外科
pp.201-204
発行日 1978年2月20日
Published Date 1978/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206894
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はじめに
選択的近位胃迷切術Selective Proximal Vagotomy(以下,選近迷切術SPV)は,欧米ではhighly selective vagotomy,parietal cell vagotomy,proximal selective vagotomy,proximalgastric vagotomy…その他種々の名称がつけられている.本邦でも初期には,近位選択的胃迷切,選択的噴門側胃迷切術などとも呼ばれていたが,現在ではほぼ上記の呼称に統一されてきているようである.
本術式の意図するところは,消化性潰瘍,とくに十二指腸潰瘍に対し,一定の減酸効果を期待しながら,なおかつ,全胃を形態的に保存し,その胃排出能をも温存しようとするもので,幹迷切(TV)選胃迷切(SV)との大きな相違点は,この胃運動能すなわち胃排出能の温存にある.したがつて,理論的にはTV,SVでは必須,不可欠とされたドレナージ術(幽門形成その他)の付加も幽門の狭窄程度によつては必ずしも必要としない.また,理論的,概念的には,迷走神経幽門洞枝の温存によつてその目的は達せられるとしても,実際の手技上,迷走神経幽門洞枝をどこまで温存するか,あるいは肛側へ切り込むか(lower limitsof denervation)によつて当然幽門洞部の運動能にも差がでてくるであろうし,したがつて幽門形成付加の必要性の度合も若干異なつてくる.
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