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特集 胆道手術後の困難症
黄疸を伴つた胆道系疾患手術後の急性腎不全—とくに急性閉塞性化膿性胆管炎における肝腎症候群の発来について
Postoperative hepato-renal syndrome in the patient with acute obstructive cholangitis
三樹 勝
1
,
金 徳栄
1
,
山川 秀
1
,
山口 健次
1
,
滝沢 隆雄
1
,
遠井 敬三
1
,
山本 保博
1
,
山下 精彦
1
,
関谷 宗則
1
,
森山 雄吉
1
,
恩田 昌彦
1
,
吉岡 正智
1
,
代田 明郎
1
Masaru MIKI
1
1日本医科大学第1外科
pp.1569-1580
発行日 1976年12月20日
Published Date 1976/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206637
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はじめに
私どもは外科医としての立場からいわゆる肝腎症候群というものを,一応"各種の原因による閉塞性黄疽の経過中に乏尿,尿成分の異常,高窒素血症などを認め,腎不全症状を伴つたもの"と定義づけて,その病態について研究してきた1-4).その成績から外科領域における肝腎症候群の発来は(1)肝黄疸の程度や,また急性黄色肝萎縮にみられるような肝障害の程度とは必ずしも平行しない,(2)なんらかの手術侵襲や,重篤な合併症ないし継発症がある場合に発現しやすい,(3)この際,腎には主としてlower nephron nephrosis型変化と胆汁色素性障害の加味された型が認められる,という見解を報告してきた.良性であれ,悪性であれ,閉塞性黄疸を伴つた胆道系疾患の手術後に突如としてみられる乏尿ないし無尿は外科医として誰しもが遭遇する最も難治性の合併症のひとつであるが,胆道感染を伴つている症例に出現しやすいことは多くの人によつて認められている5).とくに近年胆道の最も重篤な感染症として,Charcot6)がすでに1877年に記載報告した急性閉塞性化膿性胆管炎acute obstructive supurativecholangitisの存在が,大浜7),菅原8)らの報告を契機としてわが国でも関心をもたれるようになつたが,本症における肝腎症候群の発来が極めて高頻度なことから,本症を中心に胆道感染と腎病変との関連性についての成績を述べ,肝腎症候群の発来に関するその後のわれわれの考えを述べてみたい.
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