Japanese
English
臨床報告
細小血管外科の手技を応用した先天性乳房欠損の再建の1例
A case of reconstructed agenetic breast by microvascular transfer of a free gluteal flap
藤野 豊美
1
,
原科 孝雄
1
,
青柳 文也
1
,
阿部 令彦
2
,
榎本 耕治
2
Toyomi FUJINO
1
1慶応義塾大学医学部形成外科
2慶応義塾大学医学部外科
pp.677-681
発行日 1976年5月20日
Published Date 1976/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206516
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はじめに
細小血管外科microvascular surgeryの歴史は,Ja-cobson1)(1960)が,手術用顕微鏡下で血管外径1.4から3.2mmの頸動脈の吻合に100%成功したことに始まる.以来,形成外科領域では,皮弁(有茎植皮)を遊離植皮と同様に,一回の手術で遠位に移植させようとする試みが行なわれ,実験的には,Goldwyn2)(1963)が初めて犬の下腹部の皮弁に一対の動静脈をつけ,これを移植部血管と吻合する試みを行なつたが,同じ方法でKrizek3)(1965)が初めて成功した.本邦では,われわれ4)の追試が初めての報告である.そして臨床的には,浅側頭動静脈の応用が可能であると予報している5).
藤野,田嶋6)(1970)は,顔面血管腫の症例に,初めてfree groin flapの応用をすべく手術を行なつたが,その症例では適当な静脈をみつけることができず,移植を断念したと手術記事にのべている.臨床的な成功はDaniel7)(1973)によつて,初めて報告されているごとく,細小血管外科の形成外科的応用はごく最近の発展である.
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