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特集 癌免疫と外科治療
Ⅳ.癌免疫療法の実際
リンパ球移入による癌免疫療法—細胞性受動免疫療法
Cancer immunotherapy by transfer with lymphocytes;passive cellular immunotherapy
三井 清文
1
Kiyofumi MITSUI
1
1東北大学抗酸菌病研究所外科学部門
pp.1409-1420
発行日 1975年11月20日
Published Date 1975/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206375
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はじめに
最近,癌免疫療法への期待が癌研究者のみならず,臨床医さらに一般の人々の間にまで急速に高まつてきた.その背景には数年来の腫瘍免疫学の目ざましい発展によつてもたらされた多くの新しい知見があり,これらの知見をもとにして,従来の癌治療法に対する反省とともに,癌免疫療法の可能性を現実的課題として検討する必要が生じたものとみることができる.癌免疫療法自体は,すでに19世紀末からその可能性が追究され,各種の免疫療法が臨床癌に対しても試みられてきたが.十分な成果をあげるまでに至らなかつた.しかし,ここ数年来の癌免疫療法への関心の高まりは決して一時的な流行ではなく,現代免疫学と腫瘍免疫学との多くの重要な知見を根拠としており,当面する癌治療の厚い壁を打ち破るまで持続するものと予想される.なぜならば,この壁を打ち破るためには,従来の治療法の発展に加えて,宿主の癌に対する抵抗性を増強させるような新しい治療法の開発がぜひ必要であり,癌病態を腫瘍宿主相関からみるとき.免疫療法こそそれに応えるものとなろうと予想するに十分な根拠があると思われるからである.
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