特集 腫瘍免疫療法の試み
癌性腹水に対するLAK細胞移入療法
坂本 康紀
1
,
古本 博孝
1
,
鎌田 正晴
1
,
青野 敏博
1
Yasuki Sakamoto
1
1徳島大学医学部産科婦人科学教室
pp.639-644
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207824
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Lymphokine-activated killer cell (LAK細胞)は,リンパ球をInterleukin−2(IL−2)の存在下で培養することにより誘導される細胞障害性細胞で,腫瘍細胞に対しては広汎に細胞障害性を持つが正常細胞には障害性を持たないことから,免疫療法への応用が期待されている。既に多くの基礎的研究が行われ,いくつかの臨床応用も試みられているが,その効果は必ずしも満足できるものではない。その理由の一つとして,病巣局所へ多量のLAK細胞を移入することの困難さが挙げられる。癌性腹膜炎の場合,腹腔内すなわち病巣局所にLAK細胞を移入することが可能であり,高い効果が期待できることから,LAK細胞移入療法の最も良い適応と考えられる。本稿ではLAK療法について概説するとともに癌性腹膜炎に対して治療を行った患者2例を紹介する。
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