Japanese
English
特集 手術と副損傷
胃手術における副損傷
Accidental injury in gastric operation
大森 幸夫
1
,
本田 一郎
1
Yukio OHMORI
1
,
Ichiro HONDA
1
1千葉県がんセンター消化器科
pp.791-794
発行日 1975年7月20日
Published Date 1975/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206275
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はじめに
1881年,Theodor Billrothが43歳の胃癌患者の胃切除術に初めて成功して以来,ほぼ1世紀に近い年月が経過した.この間,多数の先達の努力によつて胃切除術をはじめとした各種の胃手術は腹部外科領域においては最も普遍的で,しかも安定した手術手技となつた.しかしながら過去20年以来,胃癌に対しては広汎廓清術と広汎合併切除術等が施行されるようになり,また,胃・十二指腸潰瘍に対しては迷切をはじめとした種々の手術が加えられるようになつた.一方,外科手術前後における患者管理技術の向上,麻酔の進歩等は必然的に,riskの低い患者,あるいは高齢者へと手術適応の拡大をもたらすに至つた.そもそも外科手術というものは,本来ある疾患の治癒を目的とした治療手段であるにもかかわらず,その実施によつてなんらかの組織損傷を伴うために不測の合併症を招来する可能性を常に有している.従つて,胃手術における適応の拡大と,手術手技の複雑多岐化とは長い胃手術の歴史にもかかわらず,依然として手術時における副損傷が絶無とならない大きな理由と考える.このようなことを前提として,日常の胃手術時において発生しやすい副損傷について述べてみたい.
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