Japanese
English
臨床報告
左Morgagni孔ヘルニアの1例と本邦報告例の統計的観察
Hernia of the left foramen of Morgagni:a case report and a statistical review of the literature in Japan
松岡 潔
1
,
伊藤 保憲
1
,
溝淵 正行
1
,
野村 武生
1
,
桑原 和則
1
,
仲宗根 浩二
1
,
河島 浩二
2
,
笠井 敏雄
2
Kiyoshi MATSUOKA
1
1高知県立中央病院外科
2岡山大学医学部第2外科
pp.498-506
発行日 1975年4月20日
Published Date 1975/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206231
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はじめに
近年小児外科のめざましい発展に伴い,新生児期にそのほとんどが緊急手術の対象となるいわゆるBoch-dalek孔ヘルニアの報告は著明に増加しているが,Mo-rgagni孔ヘルニアについては頻度も比較的少なく,症状も通常軽微であり,年長児から成人に到つて発症するか,または偶然発見されることが多いために,その報告はさほど多くはない.本邦におけるMorgagni孔ヘルニアの報告は,1926年飯田1)の剖検例が最初であり,内野ら2)は1969年自験例を加えて32例を集計し検討を加えている.その後いくつかの集計がみられるが,1973年長岡ら3)は自験例を入れて49例の報告があるとしている.われわれが調べえた限りでは1974年3月までにすでに71例に達しており,漸増の傾向がうかがわれる.本症は右側に発生することが多く,左側例はまれである.
われわれはさきに14歳男子で,軽度の腹部症状を主訴とし,一時は心肥大とも誤診されていた左Morgagni孔ヘルニアの1例を経験したので報告すると共に,あわせて本邦報告例71例について統計的観察を試みてみたい.
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