特集 腹部外科の臨床
研究と報告
横隔膜ヘルニア(Morgagni氏孔)の1治験例
鈴木 茂
1
,
吉田 則武
1
,
松村 一雄
1
,
河西 健夫
2
1東京大学木本外科
2埼玉県立小原療養所
pp.1213-1215
発行日 1965年9月20日
Published Date 1965/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203740
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横隔膜ヘルニアは1579年Ambroise Paréが剖検例を報告し,1874年Leichsternが臨床的に診断して以来数多の報告例が見られる.しかしヘルニア全症例に対する比率から見ると比較的稀な疾患で,米国でのヘルニア手術患者3395例のうち鼠径ヘルニア2559例(75.4%)に対し,横隔膜ヘルニアは僅か40例(1.2%)に過ぎない.本邦でも昭和29年までには44例の報告があるに過ぎなかつたが,その後麻酔,手術術式の普及進歩にともない現在では180余例の多きに達している.しかしながらForamen Morgagniより起こるParasternal Hernia(L-indskog & Lieboro)は大正15年飯田氏の報告以来14症例(治験例4例)の記載しか見られない.われわれは最近に本症の1例を経験し,開腹手術により全治し得たので2〜3の考察を加えて報告する.
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