外科医の工夫
ドレナージの管内閉塞除去
横山 正義
1,2
1東京女子医科大学
2日本心臓血圧研究所
pp.565
発行日 1973年4月20日
Published Date 1973/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205793
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外科医にとつてドレナージのやり方はもつとも大切な知識の1つであり,ドレナージ法の良否が手術効果を左右することもしばしばである.小生は心臓外科にたずさわつているが,心臓手術後は必ず,胸腔内ドレーン,心嚢内ドレーン,縦隔内ドレーンのいずれかを留置する.心嚢をひらいたあとは心嚢内にドレーンを留置することが多いが,もしこのドレーン管が血栓などで閉塞して,心嚢内に貯留した血液や滲出液を吸引できなければ,いわゆる心タンポナーデとなり患者は死亡してしまう.また胸腔内に留置したドレーン管が血栓などで閉塞してしまうと,胸腔内に貯留した血液などで肺が圧迫され患者は呼吸不全となつてしまう.心臓外科後のドレーン管の閉塞はこのように重篤な術後合併症につながつている.
ドレーン管がつまつているか否かをみきわめる方法として,ドレーン管内の液が呼吸または心拍に一致して多少でも移動するかどうかをしらべることが一般に行なわれている.もし,ドレーン管内の液が呼吸や心拍とは無関係にまつたく移動しなかつたとしたら,ドレーン管が血栓などでつまつていることを意味する.
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