Japanese
English
論説
胆嚢癌の診断と予後
Carcinoma of the gallbladder:a clinical analysis of 39 cases
志村 秀彦
1
Hidehiko SHIMURA
1
1九州大学医学部第1外科
pp.1947-1953
発行日 1971年12月20日
Published Date 1971/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205508
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はしがき
胆道に発生する悪性腫瘍の手術成績は最近でもかなり悲観的であり,根治性について懐疑的な者も多い.すなわち,解剖学的位置の関係から周囲の重要臓器への浸潤が起こりやすいこと,および周囲の血管リンパ系の構造が複雑で,十分な郭清ができないことのほかに初期症状が不定で早期発見が困難なことが,その原因としてあげられる.とくに胆嚢癌では初期といえども浸潤が速やかに胆嚢床を経て肝におよぶので肉眼的に転移や浸潤がないと思われる症例でも,術後再発を起こす例が多い.Robertsはきわめて初期と思われた5例に胆嚢摘出術を行なつたが,長期生存例は,ただの1例のみと報告している.これらの症例も多くは胆石症や良性上腹部疾患として開腹された際に偶然発見されたものであるが,その悲観的な成績から胆嚢癌の根治性に疑問をもつ者も多い.しかしわれわれも術後十数年を経て健在な症例を持つており,早期に発見され,手術されれば,術後成績もかなり期待し得るものと思つているので執拗な探索と,積極的な手術療法が必要であろう.筆者は教室において経験された39症例について胆嚢癌の特徴と診断および予後についてのべたい.
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