Japanese
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最近の麻酔
小児の麻酔と管理
Pediatric anesthesia
富永 健
1
Takeshi TOMINAGA
1
1国立小児病院麻酔科
pp.1077-1082
発行日 1971年7月20日
Published Date 1971/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205397
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小児麻酔の特殊性についてはいろいろの人々によつて記述されている1)2)3).これを要約すると年少になればなるほど,成人に比して予備力が少ないということができるであろう.
ヘルニアなどいわゆるelective caseといわれるものを除くと,とくに予備力の少ない乳児以下の年齢のものの場合,高度の脱水,電解質,酸塩基平衡のアンバランスなど重篤な合併症をともなつてくるものは多く,これらのものに対して当然術前数時間はそれに応じた前処置がなされなくてはならないとしても,それには一定の限度があつて治療のなかばでやむなく手術室に運ばれて来ることは決して少なくない.これらの患者に対してさらに麻酔,手術という侵襲が加わる以上,麻酔医はそのことを加味した上で手術終了までにできるだけ正常の範囲に全身状態を近づけるように努力をしなくてはならない.いいかえるならば麻酔を行ないながら治療を行なわなくてはならないのであつて,このことを忘れてただ安全に麻酔を終えることに専念しているならば,患者は一応生命を保つて手術室を出ることはできたとしても,やがて死の転帰をとることになるであろう.
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