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特集 外科とくすり—副作用と適正な使用法
外科臨床と血管作働性物質
Vasotropic factors and surgery
伊藤 信義
1
Nobuyoshi ITOH
1
1神戸大学医学部第一外科教室
pp.627-633
発行日 1971年4月20日
Published Date 1971/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205343
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はじめに
外科臨床において血管作働性物質が問題になるのは,主として脊麻ショック,外傷性ショック,術後ショックなどにみられる急激な血圧下降の場合である.これと別の意味で血管作働性物質が問題になることがある.たとえば,外科的高血圧症(虚血性腎性高血圧症),胃切後のダンピングなどである.前者では,生体内血管作働性物質の一つであるRenin-Angiotensin系(AngiotensinⅡ)が高血圧の原因的物質とみなされており,後者の場合は,その多彩な血管運動症状は血中に遊離放出されるhistamine,serotoninあるいはkininsなどに帰せられている.
虚血性腎性高血圧症,胃切後ダンピングのいずれも,外科としては重大かつ興味ある問題ではあるが,いわゆるショックとは発生病理,治療の点で大いに趣を異にしている.従つて,これらについては別の機会にゆずり,ここではもつぱら外科臨床に最も関係の深い急性血圧下降すなわちショック(虚脱を含めて)をめぐつて話を進める.当然のことながら,血管作働性物質のなかでもcate-cholaminesその類似物質および交感神経遮断剤の臨床が中心になる.
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