海外だより
アメリカにおける肝臓移植の現況
河野 信博
1
1東京大学医学部第一外科
pp.1726-1729
発行日 1970年11月20日
Published Date 1970/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205253
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はじめに
私が医学部を卒業したのが昭和36年であるから,まだ卒業後10年たつていないわけであるが,最近作られた同級生名簿を調べてみると,実に90名中50数名が海外留学中か,あるいはその経験をもつていることがわかつた.われわれより年輩のクラスでは,この比率はもつと高いであろうし,後輩のクラスの人々を羽田に送りにゆくことも,この頃では日常茶飯時のことになつたように思われる.一方,海外に赴かれた先生方の報告は枚挙に遑がないほどで,今更特にアメリカに僅か2年間滞在したに過ぎない私などが,海外だよりとあらたまつて述べる必要はないと思われるが,ふり返つて自分の送つて来た過去2年間のことを考えてみると,これまでに人の口から伝えられたことのないアメリカの素顔の一面を知り得たような気がしてならない.そういつた意味で,私がニューヨークのメモリアル・スローンケッタリング癌センターで肝臓移植の実験と臨床にたずさわりながら感じたこと考えたことなどを,事実を紹介しながら若干述べてみることも意義のないことではないと思う.
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