Japanese
English
特集 臓器移植の最前線
肝臓移植の現況と展望
Liver transplantation:present and future
岩月 舜三郎
1
Shunzaburo IWATSUKI
1
1ピッツバーク大学外科
1Dept. of Surgery, University of Pittsburgh, School of Medicine
pp.475-483
発行日 1984年4月20日
Published Date 1984/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208601
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
1963年3月1日,コロラド大学で世界最初の臨床肝臓移植が行われて以来,世界の症例数は既に500例を遙かに越え,1,000例に近づこうとしている.当時,医学生として,門脈圧亢進症の権威今永 一教授の名講義を毎週欠かさず聴いていた小生は末期肝硬変症に肝臓移植をしてはどうかと質問したことを記憶している.定年に近かつた今永教授のお答えは「門脈下大静脈吻合術は一時しのぎの治療です,君達若い人達がこれから頑張つて肝臓を取り替る様にして下さい.私は草葉の陰からその日を待つています.」であつた.入局後は食道末端胃上部切除術を完成された山本貞博教授をそそのかして,犬で肝臓移植を試みた,山本教授は移植そのものに悲観的であられた.この紙面をお借りして,「治療」としての肝臓移植を両恩師への御報告も兼ね,私の体験してきたことを,明日にも始まろうとしている日本の肝臓移植に役立つ諸問題について語りたい.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.