Japanese
English
特集 縫合不全
胆道再建の合併症
Care of the leakage after biliary tract surgery
秋田 八年
1
,
香月 武人
1
,
瀬戸口 敏明
1
Hachinen AKITA
1
1鹿児島大学医学部第二外科学教室
pp.819-822
発行日 1970年6月20日
Published Date 1970/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205125
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はじめに
胆道手術,ことに良性胆道疾患手術の直接死亡率は,近年著明に減少し,教室におけるいわゆる胆石症217例の手術直接死亡例(再手術を含めた入院中死亡例)は7例3.2%である.これらの症例には,かなりの数の各種胆道再建術が行なわれているが,縫合不全による死亡は,胆嚢剔除・総胆管十二指腸吻合術後に総胆管癌を続発し,総胆管空腸吻合(Roux-Y)および胃空腸吻合術を行なつた69歳男子の1例にすぎない.すなわち一般に行なわれる胆道再建術は,基本的な術式に従えば,ほとんど縫合不全の危険はないものと考えられる.しかし膵頭十二指腸切除術や肝空腸吻合術などの特殊な胆道再建術や,先天性胆道閉鎖に対する肝門部肝管空腸,あるいは十二指腸吻合術など新生児の胆道再建では,術式そのものの不確実性やこのような特殊再建術を必要とする基礎疾患の病態がもたらしたpoor riskなどと相まつて,その術後は必ずしも安全とはいいがたい.以下,通常の胆道再建術と特殊な胆道再建術に分けて,縫合不全の予防と対策を論じたい.
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