患者と私
研究・教育・診療のバランス
大井 実
1,2
1東京厚生年金病院
2慈恵会医科大学
pp.712-713
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205112
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"臨床の教授というものは研究・教育・診療の3本立て,どちらか1本欠けても,その職責を果したとはいえない".こう戒しめられて今日にいたつたが,"患者と私"——この席へ引きだされたとたん,私の頭のなかでは,この二つがはげしい連鎖反応をおこした.
私は外科医者を志して大学の教室にはいり,6年間の修業を終えたとき,すぐ教職についた.その後30年間,同じ職業を続けたわけであるから,この戒しめは,いわば私の一生にわたつてつきまとつたという次第.この席がザンゲ台,なんとなく冷たいものに感じられるのも無理はあるまい.事実,私は研究・教育・治療,この三つのバランスのことに悩まされつづけた.
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