Japanese
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特集 腸瘻の問題点
経腸瘻的栄養補給の実際
Feeding through the enterostomy
小出来 一博
1
Kazuhiro KODEKI
1
1順天堂大学外科
pp.1497-1504
発行日 1969年11月20日
Published Date 1969/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204974
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はじめに
栄養の補給法は第1表に示す如く,経腸栄養法と避腸栄養法とに大別できる1).この場合経腸栄養法が充分な栄養素を,より生理的な経路で与えうる.したがつて,経口栄養が栄養補給の基礎になることは,外科栄養においてしばしば強調してきたところであるが2),経口栄養が著しく制限された場合,あるいは不可能な場合には,止むを得ずチューブ栄養が施行される.
チューブ栄養でも鼻腔,食道を経由してチューブを挿入する場合と,瘻管をつくり消化管に直接チューブを挿入する場合とがある.この場合前者がより生理的であることは論をまたないが,後者の選択をせまられるにはそれ相当の理由がある.この理由,方法は他にゆずるとして,瘻管栄養の実際をのべるまえに,瘻管栄養の栄養学的特性を検討してみる必要がある.瘻管栄養も消化管の上部に置かれれば,置かれる程より生理的であることは明らかである,したがつて腸瘻の場合にも空腸に置かれたものが最も生理的に近く,廻腸,大腸になると消化・吸収能が劣る.すなわち上部腸瘻の場合が,消化液が充分混和し,消化が良好に行なわれ,吸収もよい.しかし胃液,胆汁,膵液の分泌が悪く,腸瘻より与えられた栄養物と混和しない場合には,消化吸収障害が起つてくることは当然考えられる.また消化管内のpHも消化にはもちろん関与してくるので,腸瘻から与えられた栄養物の消化吸収の病態生理をよく把握する必要がある.
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