Japanese
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特集 緊急手術の手技・Ⅱ
卵巣腫瘍茎捻転
Torsion of the pedicle
坂内 五郎
1
Goro SAKAUCHI
1
1群馬大学医学部第二外科
pp.1365-1367
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204957
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はじめに
卵巣腫瘍茎捻転は症状の発現が急激で下腹痛,悪心,嘔吐,冷汗等いわゆる急性腹症の症状を呈し,放置すれば患者の生命にも重大な影響を及ぼすので,子宮外妊娠破裂と共に婦人科疾患でありながら,一般外科医もその診断ならびに治療に関する十分な知識をもつていなければならない.われわれ外科医が日常しばしば遭遇する急性虫垂炎あるいはイレウスと本疾患との鑑別は重要で,特に患者が女性の場合には注意を要する.特に腟内指診あるいは双手診による腫瘤と子宮との関係は,腫瘤形成性虫垂炎と本疾患との鑑別上極めて重要であるので,必ず試みてみねばならない診断法であろう.通常急激な下腹痛,腹膜刺激症状,球状ないし卵形,平滑,緊満弾力性の腫瘤の触診等により診断は容易である.本症と診断がついたら出来るだけ早く手術才べきである.通常腹膜刺激症状と共にショツケ症状を呈することが多いので,その程度に応じて鎮静剤,鎮痛剤,強心剤,昇圧剤などを適宜投与し,出来るだけ速やかに患者の状態を改善させた上で緊急手術を行なうのを原則とする.麻酔は全身麻酔の普及した今日では,気管内挿管による閉鎖式循環麻酔が最も安全である.
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