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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
13章 妊産婦・女性性器疾患
卵巣腫瘍茎捻転
Torsion of pedicle in ovarian tumor
羽間 夕紀子
1
,
下屋 浩一郎
1
1川崎医科大学産婦人科学1教室
pp.560-561
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202010
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卵巣とは,骨盤漏斗靱帯と卵巣固有靱帯で支持された,可動性が高く,物理的に茎捻転しやすい臓器である.卵巣腫瘍茎捻転は,婦人科救急の現場では比較的よく遭遇する疾患として知られており,緊急手術の適応となるため迅速な対応が望まれる.症状としては,突発的な下腹部痛を主体とし,患側優位にこの症状が出現するとされているが,必ずしもそうとは限らず,痛みの程度も茎捻転の度合いに比例してさまざまである.また,嘔気・嘔吐などの消化器症状が出現することもしばしばで,鑑別疾患を除外しながらの診断になる.あくまで確定診断は手術所見による.治療は,緊急性を要すれば緊急手術となるが,緊急性がなければ鎮痛薬で疼痛コントロールを行いながら,悪性腫瘍の除外をしたうえでの手術が理想である.開腹手術や腹腔鏡手術は双方可能である.手術所見によっては卵巣摘出の可能性もあるため,生殖可能年齢であればインフォームドコンセントが重要となってくる.治療が完了すれば予後は良好であるが,卵巣温存した場合は再発のリスクもあることを考慮にいれなければならない1).
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