増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❷婦人科救急疾患への対応法
卵巣腫瘍茎捻転
河合 要介
1
1大垣市民病院産婦人科
キーワード:
卵巣腫瘍茎捻転
,
卵巣腫瘍
,
腹腔鏡手術
Keyword:
卵巣腫瘍茎捻転
,
卵巣腫瘍
,
腹腔鏡手術
pp.95-98
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211206
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30代女性,未経妊.突然発症した右下腹部の鋭い痛みと側腹部や背部に放散する痛みを主訴に救急外来を受診した.微熱を認め,悪心・嘔吐も伴っていた.妊娠反応は陰性であり,採血では白血球数の軽度上昇を認めた.経腹超音波検査では圧痛部位に一致して腫瘤像を認めた.急性虫垂炎,尿管結石,卵巣腫瘍茎捻転,卵巣出血,卵巣腫瘍破裂などを鑑別疾患に考え,造影CT検査を施行したところ,骨盤内右寄りに直径70mm大の卵巣腫瘍を疑う所見があり,子宮との間に渦巻状の構造を認めた.右卵巣腫瘍茎捻転が疑われ,産婦人科にコンサルテーションしたところ,下腹部痛も持続しており,診断目的で緊急腹腔鏡下手術を行う方針となった.腹腔内を観察すると肉眼的に右卵巣が暗赤色を呈しており,壊死が疑われたが,捻転解除すると右卵巣の色調は回復傾向にあったため,右卵巣腫瘍のみ摘除し,右卵巣は温存可能であった.病理結果では一部壊死組織を認めたが,成熟囊胞性奇形腫で矛盾しない結果であり,悪性所見は認めなかった.
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