Japanese
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特集 癌外科の進歩—現状と将来
膵癌
Carcinoma of the pancreas
土屋 涼一
1
Ryôichi TSUCHIYA
1
1京都大学医学部第1外科
pp.1914-1917
発行日 1968年12月20日
Published Date 1968/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204756
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膵癌に対する治療成績の現状を,最近の教室の症例から検討してみよう.昭和40年4月より現在にいたるまでに京大第1外科に入院した膵癌症例は55例で,その内訳は,膨大部癌8例,頭部癌11例,頭部領域癌19例,体尾部癌14例,広汎癌3例であった(付表).
頭部領域癌という項目を設けたのは,開腹して膵頭部領域に癌腫の存在を確認しても,肝転移あるいは腹膜播種などのために試験開腹や姑息的手術に終り,膵十二指腸切除をなし得なかつた症例を指している.すなわち,われわれは切除または剖検によらざる限り,その癌腫が膵頭部のものか,総胆管より発生したものか,あるいは膨大部癌かを判定し得ないものとし,これらを一括して膵頭部領域癌としたのである.膵癌の治療成績を云々する場合,膨大部癌と膵頭部癌とは厳に区別せねばならぬことは,くりかえしのべられてきたが1)2)3),臨床症状は全く膨大部癌の性格を有しながら1),切除標本では膵頭部癌であつた症例を経験してから,切除標本を手にとって検討しないかぎり,単に臨床症状や臨床検査から診断することはさけようと考えたのである.したがって,頭部領域癌の中には,厳密には膵癌の他に,膨大部癌,総胆管癌あるいは十二指腸癌が含まれている可能性がある.
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